「冗談交じりで言うときはありますけど、多分きっと、冗談だと思います。私は……別に再就職とかするつもりはありませんし……」
「結婚退職かとも思った」
副社長は、更に世間話にずれ込むつもりなのか、一度首をぐるりと回し、デスクの上のお茶を一口飲んだ。
「いえ、そんな予定はありません」
「全く?」
「はい」
「ああ、すまない。セクハラには取らないでほしい。いや、もう遅いかな?」
「いえ……今は進退の話をしている時です」
「ありがとう」
副社長はご機嫌に笑った。
「店舗か……。君には本社にいてもらいたいね。以前の店舗での警察沙汰のこともあるから、宮下君の下に就かせているのが一番安心だと思うし」
香月は、大きく目を開いて言った。
「でも私! 本社で……今の企画課では……全然仕事してません」
「どうして?」
「……、あんまり、馴染めなくて……」
「事故のことも聞いた。あの程度のこと、気にすることじゃない」
「……」
何故これほどまでに偉い人が、味方についてくれるのか、さっぱりわけが分からず、疑いの念から嫌気がさした。
「企画課は今、最大限に人数を増やしている。後から序所に削るつもりだが……。君にはいてもらうよ。これは、副社長命令」
「……どうしてですか? 私、そんなに仕事できませんけど……」
「そう思ってるのは自分だけだろ? 本当に仕事ができないのなら、そもそもエレクトロニクスには、入れなかっただろう。厳しい試験を受けてきてるんだ、それぞれ、社員は信用している」
「……あの……やっぱり店舗はダメですか?」
香月は、どうせなら、と、力を込めて聞いた。
「うーん……そうだなあ……。どういえば、納得してもらえるだろうか……」
副社長は椅子に座り、くるりと半回転し、窓の向こうの空を見上げながら言った。
「……」
「結婚退職かとも思った」
副社長は、更に世間話にずれ込むつもりなのか、一度首をぐるりと回し、デスクの上のお茶を一口飲んだ。
「いえ、そんな予定はありません」
「全く?」
「はい」
「ああ、すまない。セクハラには取らないでほしい。いや、もう遅いかな?」
「いえ……今は進退の話をしている時です」
「ありがとう」
副社長はご機嫌に笑った。
「店舗か……。君には本社にいてもらいたいね。以前の店舗での警察沙汰のこともあるから、宮下君の下に就かせているのが一番安心だと思うし」
香月は、大きく目を開いて言った。
「でも私! 本社で……今の企画課では……全然仕事してません」
「どうして?」
「……、あんまり、馴染めなくて……」
「事故のことも聞いた。あの程度のこと、気にすることじゃない」
「……」
何故これほどまでに偉い人が、味方についてくれるのか、さっぱりわけが分からず、疑いの念から嫌気がさした。
「企画課は今、最大限に人数を増やしている。後から序所に削るつもりだが……。君にはいてもらうよ。これは、副社長命令」
「……どうしてですか? 私、そんなに仕事できませんけど……」
「そう思ってるのは自分だけだろ? 本当に仕事ができないのなら、そもそもエレクトロニクスには、入れなかっただろう。厳しい試験を受けてきてるんだ、それぞれ、社員は信用している」
「……あの……やっぱり店舗はダメですか?」
香月は、どうせなら、と、力を込めて聞いた。
「うーん……そうだなあ……。どういえば、納得してもらえるだろうか……」
副社長は椅子に座り、くるりと半回転し、窓の向こうの空を見上げながら言った。
「……」