香月は小走りで四対の後ろにつき、きょろきょろ見渡しながら、そのおそらく4階建てくらいにはなっているのではないかと思うほど高い邸宅に近づいて行った。
「……」
 室内に入ると、広い玄関をそのまま靴で入っていく。どこからともなく手伝いとおぼしき黒い服に白いエプロンをかけた女が静かに現れ、2人の荷物を手に持ち、案内してくれた。
「……」
 って何故2人で2人部屋なの??
「あの、一つ聞いていい?」
「あ?」
「皆は?」
「その辺にいるだろ」
「……今日は何人くらい来るの?」
「2人に決まってんじゃねーか」
「えっ!? 私たちだけ!?」
「ちげーよ、俺たち以外2人!」
「……最上たちは本当に来るんだよね……」
「もう来てるだろうよ」
「え゛、でもなんで?? だってこの前いっぱいいたじゃん!!」
「うぜーだろ、あんなに」
「やまあ、そうだけど……」
「……何?」
「何っててっきり……今日もいっぱいいて……どんちゃん騒ぎなのかと」
「騒げばいいじゃん、2人で」
「……」
 何故2人?
 聞こうとしてやめた。
「ここ露天があるんだよ。うちも作ろうかなー」
 庶民とかけ離れた言葉に、返事もできず、ただ窓の外を見つめ、ため息をついた。
 その後は最上達と合流し、4人でテニスをした。四対は上級者なようで、そこそこうまい千では敵わず、そのレベルの差と四対の予想以上の熱意の温度差で爆笑の時間はすぐに過ぎる。
 広いダイニングの長テーブルで4人で食事をした後、どうにか千か最上が一人の時につかまえうとしたが、うまくいかず、結局露天など入って寛いだところで、四対と2人、浴衣姿でモダンな和室の部屋で飲むことになった。いや、飲んでいるのは四対だけである。