「なに?」

つい、まじまじと彼女の見せる表情に見入ってしまっていたようだ。

「や、幽霊でも、こんな風に笑ったりするんだなぁって・・・。」

一瞬、彼女の瞳に影が落ちた気がして、慌てて俺は口をつぐんだ。


「ごめんね。あなたは関係ないのに、なんか変な事に巻き込で、迷惑かけちゃって…。」

申し訳なさそうに俯くその姿が、なんだか痛々しかった。

幽霊だからって、俺ら人間と何にも変わらないんじゃん。

記憶を失くした女の子が、こんなとこに独りぼっちで不安じゃないわけない。


俺にはそんな風に思えて。