彼女の笑った顔を見るのは、初めてだった。

笑うと八重歯が覗いて、いつもより少しあどけなく見える。


ここ3日ほど眠るたびに会っていうというのに、俺は彼女のことを何にも知らないままだった。

そもそも彼女には全くと言っていいほど記憶がなく、名前や歳すらわからない状態で。

なぜ、いつから、ここにいるのかも不明。

ただわかっているのは、俺以外の人間には見えないって事とここから出ることが出来ないって事くらい。