「僕には新しい物なんて向かないもの、よくわからないし、欲しいと思わないなぁ」


何を年寄りのようなことを。

まだまだ年齢的にはマスターにも追いついていないというのに。


「それに、君の味付けにもすっかり慣れてしまった」


それは長年の苦労の賜物だ。

彼らの好みを把握し、それに適した味付けをしっかりと覚えた。

が、そんなもの、次の『我々』はすぐに理解するだろう。


「今君じゃなくなったら、きっと僕は野菜を食べなくなるだろうね」


それは困る。

それに新しい『我々』はきっと、それでいいと判断してしまうに違いない。

というか、まだ野菜は嫌いなのか。


「それに」