その後も、息子はすくすくと成長を重ねていく。

私は彼の容姿や行動の一つ一つに、マスターの面影をよく重ねるようになっていた。

なるほど、親子は似るものだ。

私にも、少しは似ているのだろうか。

一応、彼の母親に似ているという話なのだから。

いや、そんなことを想像するのはおこがましい話だ。



彼はやがて学校を出て、社会の場へと足を踏み入れた。

マスターの遺産は恐らく息子が一生働かずとも暮らせるだけのものであったというのに、彼がそれに頼るということはなかった。