嗚呼、と思わず口にする。

彼は、自分の為だけではない。

私の為にその行いをしたのだ。

非難されてしまいがちな、暴力という行為を。



私達の為に。



救われてしまう。



支えられている。

このような、小さな子供に。

私がサポートする側であるというのに。

情けない、と思う。

しかし、同時に、有難いと、思う。



ただ、有難い、と。


「そう、ですね」


私がようやく答えると、彼は笑った。


「よかった」