「……あなたは?」


「はい?」


「あなたは、置いていかない?」


「えぇ」


「どこにも、行かない?」


「えぇ、決して」


ある意味、自信を持って答えられるものだった。


しかし。


私は、人間ではない。

私は、換えの利く機械でしかないのだ。

例え死ぬことがなかろうと、それが何だと言うのか。

いずれ私は時代遅れになるだろう。

いつかはより使い勝手のいい『我々』が作られ、出回ることになる。

そんな時、すぐに換えが利くような存在が、人間一人の存在と同等になり得るわけがない。


それでも。



「よかった」



彼はそう言って微笑んだ。