言葉だけ、とはどういうことだろう。

どうしてこの季節は寂しいのだろう。

しかし、尋ねてもきっと彼は、いつものように笑うだけで、はっきりと答えてはくれないだろう。

お茶を飲み終えると、彼は仕事仕事、と呟きながら部屋に戻っていった。

先程彼が見上げていたものを、私も同じ位置に立って見上げてみる。

いくつもの枯葉の向こうに、青い空が見えた。

彼はこの景色を見て、何を感じたのだろうか。

同じ位置から眺めても、きっと私には彼と同じように感じることはできない。

空が青い、ならば今日は洗濯物がよく乾くだろう。

そろそろ涼しくなってくるだろうから、衣服の入れ替えを行わねばならない。

この枯葉は、何故落ちてくるのだろう。

何故哀れみを感じるというのだろう。

哀れむとすれば、自分が人間ではないことだろうか。