無機質な機械音が辺りに響いた。

そこに、もうヒトはいなかった。

ただただ無表情なキカイがそこに存在しているのみである。



キカイにはあらかじめ命令が刻み込まれていた。

丘の下に見える家で時間を過ごす、とある。

初期化する以前の自分が、何故そのようなオーダーを残したのか。

キカイには分からなかったが、ただ静かにその場を後にする。

その丘に秘められた、特別な意味さえも忘れて。


やがて、足音は遠ざかり。




そして、『誰』もいなくなった。