動き始めたプログラムが、カウントを開始する。

……いまや時代の遺物でしかない私を、誰も引き取ろうなどとは思わないだろう。

ましてや、このような不要な感情を持っている機械を、誰が欲しがるというのか。

私には帰る場所がない。

自決することもできないよう作られた私には、こうすることしか、できない。

この場所で過ごすことしかできない私には。

全てを忘れることしか、できない。



ああ。



ここで静かに暮らしていこう。

全てを忘れた、その上で。

いつ終わるか分からない時間を、長過ぎる時間を過ごすには、この感情は、思い出は、あまりに辛すぎた。

自らを壊すことができない『我々』にできる、唯一のあがきだ。