「あ、ありがと。」


「いいから。行くぞ。」



と言って横に停めていた

自転車にまたがる男の子。



「始業式から遅刻なんて冗談じゃすまないだろ。
ほら、早く乗れ。」



と言い放つ男の子。


「はーい。」


女の子は素直に後ろに座る。



「ちゃんと掴まれ。」


「大丈夫だよー。」


「大丈夫じゃないだろ。
落ちても拾わないぞ。」


「………。」



しぶしぶ男の子の腰に手を回して

しがみつく女の子。



「行くぞ。」


と言うなりすごいスピードで

走り出した自転車。



女の子の悲鳴が響いたのは

言う間でもない。