午後10時

健汰の姿が見えた。

少し肌寒い夜…。

心は不安でしかたがなかった。

だって…もし健汰になんかあったら…

もし健汰が死んじゃったら

考えたくなんかなかったけど

心の中は不安でいっぱいで

脳裏には健汰の寝顔が焼き付いていて…。

そんなことを考えながら

健汰の方に振り向いた。

いつもみたいに…

不安が伝わらないように

健汰に手をふった。

健汰は自転車を押しながら駆け寄ってきた

「大丈夫なの?いま出てきて」

「ちゃんと了承もらってきたから」

「ならいいんだけどね」

健汰の話に微笑んで返事した。

ねぇ…神様わかって。

いまきっと、

健汰が一番苦しい思いを抱えてるの。

いつも私、健汰に甘えてるけど

今日だけは健汰を困らせたくないの。

お願いだから…

いま涙を流させないで。

いま泣いたら泣き止めないから。

健汰を困らせちゃう気がするから

お願いだから

健汰のそばにいさせて。

私は綺麗な空の星に唱えた。

「ちょっと走ろうか」

健汰はふんわりした笑顔で

私に言った。

私たちは歩き出した。