思い通り結愛の涙は止まった。

どこか卑怯なのはわかってたけど

だけどこんな特別な時間に

結愛の悲しい顔はみたくなくて…

「健汰には勝てないね…」

結愛が涙の痕を残しながら俯いて微笑んだ。

「ん?」

「嘘だと思ったよ」

「俺には泣き止ますことくらいできるの」

「そっか、ごめんね」

2人額をくっつけて笑った。

なにか特別なことしなくても

結愛と一緒にいるその空間があるだけで

俺は幸せなんだ。

突然結愛が話し出した。

「健汰…」

「なに?」

「膝枕してほしい…な…」

「寝るの!?」

「寝ないよ?

ただ健汰と一緒にいれる時間が

あと30分しかないから…

健汰に触れてたくて…」

「了解しました。

わがままお嬢様」

結愛はほんのり暖かかった。

どうしてかはわからないけど

結愛が生きてるって確認したかった。

なにか、結愛と一緒にいれる時間が

1日に一緒にいれる時間が

少なくなればなるほど不安だった。

俺には“病院”その言葉を聞くたびに

いいことは起こらなかった。

今日の病院からの呼び出しが

なにを暗示してるのか薄くわかっていた。