「結愛?」
「…」
「どうしたの?」
「なんもないよ」
「言ってみないとわかんないよ」
「だって健汰は困っちゃうよ…」
「それでもいいから」
「…」
「結愛?」
「寂しいよ?この学校に入らなきゃ
健汰には会えなかったけど
この学校じゃなかったら
健汰と同じクラスになれたのかな?って。
少し離れてるだけでも私は寂しいよ」
結愛が泣いてしまった。
俺は最悪だ。
結愛が泣いてるのをまるで
利用するかのように
結愛を抱きしめていた。
俺は結愛が泣かないと
なにもできないのか?
結愛がSOS を発しないと
助けてと言わないと
結愛を幸せにできないのか?
この日俺は始めて知った。
自分のあまりの無気力さに。
「結愛…泣き止んで?」
「ちょっと待って。」
「俺が泣き止ましてやろか?」
結愛は絶対に嘘だと言う。
結愛殴るなよ?
酷いのは俺も
痛いくらいに苦しいくらいに解ってるから
そう願いながら
結愛に甘いキスをした。