「樹さん、赤坂さんといい感じじゃないですか」
「テル...。勘弁してくれ」
コイツは俺のマネージャー、岩野照久((いわのよしひさ))。
俺は最初、こいつの名前を((てるひさ))と読んだ。
そこから抜けなくてずっと((テル))と呼んでいる。
俺だけじゃなく、メンバーやチーフマネージャーにまで。
「でも、アイドルは熱愛報道を一番避けたいですからね」
「それだけじゃねえよ。赤坂だから嫌なんだ...。」
「なんでですかぁ?あんなに美人で、気遣いもできて完璧な女性」
「いっぺん会話してみろ。絶対に嫌になるから」
赤坂は外ヅラだけはいいからな...。
内面が伴っていない。
どんどん嫌いになっていく一方だ...。
「僕は赤坂さん、めちゃくちゃタイプですけどね」
「顔だろ。顔」
「そりゃあ女優は顔と演技が最大着目点ですからっ!」
何、顔赤くしてんだよ...。
まあいいさ。
勝手に赤坂にでも誰にでも惚れてろ。
「着きますよ。今日は番組協力あるんでファンがたくさんいます。
サインなどにいちいち応えたりしないように!」
「わーかってるよ!
よしっ!いっちょやってやるか!」


俺のアイドル人生は永遠。
いつも応援してくれてるファンのためにも俺は恋人は作らない。
恋人がいる、なんて知ったら人気も落ちるだろうし
ファンが悲しむに決まっている。
俺はそんなことをするなら恋人との永遠の愛を捨てれる。
ファンは命なんだ。