「……で、告白は受け入れたの?学校でカッコイイ人ベスト3さん。」

「んな訳あるか!!!」



午後の授業の予鈴が鳴ったので、さすがに気まずいから、先ほどの女生徒に会わないようにしながら、自分の教室に戻って席に着いた。
先生が来るまでにまだ時間があるので、次の授業の教科書を机から引っ張り出していると、私の前の席から声がかかった。
ものすごい勢いで突っ込みをいれると、友人の朝倉 真央(あさくら まお)はニヤニヤといやらしい顔を浮かべながら、椅子をまたぐ形で逆向きに座り、私の方を向いた。


そう、実は私は、今月の学校新聞の『カッコイイ人ベスト5』の3位に、選ばれていた。
実に、実に実に不名誉なことだ。
家族に話したら、父は苦笑いし、母は自慢の息子だ(娘だ!)と喜び、兄は大爆笑した。
小学生の時からほぼ諦めていることとはいえ、実に不愉快だった。



「今年のカッコいい1位は新入生の子だったね。そういえば今年の可愛い1位は新入生の男の子だったのは意外だったけど、あれはうなずけるわ。あの男の子は可愛すぎた。」


その言葉に、私の身体がびくっと反応した。
今年の新入生、可愛い1位だった男の子。
その名も森 礼司(もり れいじ)くん。
一目その姿を見ただけで、私は彼の虜(とりこ)となった。



さらさらの栗色の髪。
大きな目、小さな身長。
私があこがれてやまないものが、そこに存在した。



「可愛すぎるよ…あれは。」


机の中を探れば、未だ相手に届きそうにない封筒が、指先に触れた。