…離れる、か…。


「お前がそう思ってるのなら、俺は止めねぇよ」


小さなため息をつき、それからまた朔也を見る。




「止めないけどさ…、お前が居なくなったら、俺は寂しい。
なんて言うか…、俺はお前のことよくわかんねーけど、お前は俺のことをちゃんと見ててくれるから…だから居なくなったら寂しい」

「…なんだよそれ」


「よくわかんねーって言っただろ。
わかんねーけどさ…、俺が暴走しそうになった時、お前が居てくれなきゃ困るんだよ」


ジッ…と朔也を見る。

その時、朔也はふっと小さく笑って髪をかき上げた。




「“止めない”って言いつつ、じゅうぶん止めてるね。
龍輝って、そんなに俺のこと好きなんだ?」


大雅がいつもするように、ニヤリと笑う朔也。
いつもクールな朔也には似合わない笑顔だったけど、その瞳は、いつになく優しく見えた。


「お前は馬鹿だよ。
俺と離れていれば、なんの心配もせず真由と過ごしていけるのに」


言いながら、また髪をかき上げる。


「これからも、お前と真由のそばに居る。
だから、俺に壊させるな」


公園で言ったのと同じセリフを、朔也は今、笑って言っている。
だから俺も、あの時と同じセリフを笑顔で言った。




「無理かもしれないけど、頑張るよ」