「駅前で朔也くんに会ってねー、ウチに来る途中だったみたいだから連れてきちゃった!!」


……美奈に引きずられるように入ってきた朔也が、俺を見て苦笑いを浮かべてた。


「アンタに話があるんだってよー。
あ、もしかして恋のお話? なんなら私が相談に乗ろうか?」

「…美奈さんに相談したら絶対おかしなことになるんで、遠慮しておきます」


「うわ、龍輝みたいなこと言うねー。 前は素直で良い子だったのに!!
朔也くん、付き合う友達は選んだ方がいいよ? コレと一緒に居たら、成績落ちてく一方だもん」

「あはは」


…落ちてく一方とかどんだけ酷いんだよ。
つーか息子のことなのによくそんなこと言えるよなぁ…。

朔也は朔也で笑ってるし。
俺の存在ってなんなんだ?




「まぁいっか。せっかく来たんだからゆっくりしていってね。
あ、私は今から哲を迎えに実家行ってくるから。 じゃあねー」


言いながら手を振り、美奈はさっさと行ってしまった。




「相変わらず、パワフルな人だね」

「あぁ、毎日疲れてる」


そう笑い合ったあと、朔也は俺の真ん前に座り、小さく息を吐き出した。