「ちょっ、なんで笑うんだよー。 俺は本気で聞いてるのに!
…で、結局二人はなんなのさ? 実はズッコンバッコンな関係?」

「ズッコンバッコンっていつの言葉だよ。
その前に、そんなの男とやりたくもねーわ」


「えー…龍輝と朔ちゃんならすげー似合いそうだけどね?」

「んなもん似合いたくねーよ」


大雅と二人でゲラゲラ笑う中で、朔也は相変わらずの無表情。と言うか、凄く嫌そうな顔で俺たちを見ている。


だけど俺も大雅もそんなことなんて気にもせず笑い、そのうち冷蔵庫から酒を持ってきての馬鹿騒ぎ。

美奈に「明日帰る」とメールし、その日は夜遅くまで大雅と飲んだ。
そして大雅が潰れてしまった後はビールを片隅に置き、必要な物をカバンに詰める作業をようやく開始することに。


そんな俺の近くに座る朔也が、携帯の画面を見つめながらふっと笑ったのが見えた。


「なんか面白いことでもあった?」

「健吾がのろけてる」


「あー、なるほど」


優と付き合うようになってからの健吾は、優の話をすることが多かった。

妹の話を聞くのはちょっと複雑だったけど、でも幸せそうな健吾を見てるとこっちまで笑顔になることが出来た。


そう言えばこの前、「優ちゃんが“呼び捨てでいいですよ”って言ってきたんだがどうすりゃいい!?」って相談してきたっけ。

あの時は「んなもん知るか」って答えたけど、結局どうなったんだろう?