「龍輝が居ない間に一人暮らしを満喫!!
暑い夏を快適に過ごすエアコンもただでゲットー」


………。
…馬鹿かコイツは。

いや、“大雅らしい”と言うべきか…?


「…まぁいいけど、羽目外しすぎんなよ?」

「おー。女連れ込んで毎日楽しんどく」


「… 俺 の 部 屋 だぞ?」

「あはは、冗談に決まってんじゃん。
でもまぁ…、真由ちゃんのことは連れ込んじゃうかもしれないけどね?」


……マジで殴るぞこの野郎。




「俺がちゃんと見張ってるから大丈夫だよ」


と、すかさず言う朔也。
だけど大雅は、やっぱり何かを企んでる顔で笑ってる。


「俺を見張っとくとか言ってさぁ、朔ちゃんってば隙を見つけて真由ちゃんと二人きりになるつもりだろ?」

「………」


「うっわ否定しないのかよー。
龍輝、朔ちゃんと真由ちゃんを二人きりにするのは危険だから、俺が真由ちゃんをしっかり守っとくよ!!」


……大雅の言葉は、全っ然説得力がねぇな。


大雅の言葉に呆れつつ、はぁ…、と小さく息を吐く。
それから、静かに朔也を見た。


…確かに朔也は、大雅の言葉を否定しなかった。
真由と二人きりになったらコイツは、きっと“何か”をしようとする。




「朔也」

「何もしないよ」


「…まだ何も言ってねぇし」

「俺の答えは変わらないんだからいつ言っても同じだよ」


「…ま、確かにそうだけどな」


ポリポリ、と頬を掻き、また真っ直ぐに朔也を見る。




「俺が居ない間、真由を頼む」


…真由の一番近くに居てやれんのは、多分朔也だ。
それに…、俺自身、朔也を一番信頼してる。

大雅や健吾、優のことを信頼してないわけじゃないけれど。
でも何かあった時、俺は真っ先に朔也を頼るだろうし、真由もきっと朔也を頼る。

だから…、真由を頼めるのは、コイツしか居ないと思うんだ。




「……龍輝は、嫌な奴だな」


俺の言葉に対する朔也の言葉は、それだった。