……なるほど。


「そんなことがあったのか」


…大雅は真由のことが好きだけど、その気持ちは誰にも言ってないし、俺に気付かれてるとも思っていない。

だから真由から沢良木の話を聞いた時、本当はきっと、すげー動揺してたんだろうな…。


でも自分の気持ちを隠して、何でもないような顔でいつもみたいに言葉を繋げて…、そして真由を傷つけた。ってことか。




「……で、朔也は何?」


大雅から視線を移し、朔也を見る。

俺を真っ直ぐに見る朔也が言ったのは、大雅とは対照的なとても短いものだった。




「お前を裏切ろうとした」

「………」


…朔也は、それ以上は言わなかった。
だけどそれでも、朔也が何をしようとしたかがわかってしまう。

コイツはまた、真由に触れようとしたんだ。




学園祭の前と同じ…いや、きっと朔也は、あの時以上に真由を想い、そして触れようとした。


真由に対する気持ちと、俺に対する気持ち…朔也はその狭間で揺れている。

それが、「殴れ」と言った理由…。