「こら~!走らないでください!」

看護婦さんの怒る声

「すみませ~ん!」

綺麗で澄んだ声が聞こえたかと思ったらドアがいきおい良く開いた

「大輔!聞いて、見て、驚いて!」

そう綺麗な声とは変わって、元気で活発な少女

「そんなに走ってこなくても大丈夫なのに。やれやれ、百合は元気だね~」

そう、この少女は幼馴染みにして僕の大好きな人

藍原百合

まあ、告白はしていないから片想いって言う感じ

百合は僕と対局の存在で、憧れの存在でもある

「今日は、これを見せに来たの!」

学校指定の藍色のトートバッグの中からしわしわの賞状が出てきた

「ありり、走ってきたからしわくちゃになっちった」

そういって、賞状を置いてまたバックの中から何かを探し始めた

「まったく、駄目だよ。賞状は大切にしなくちゃ」

僕は可哀想な賞状のシワを丁寧に直す

「それでね、前に出した写真が賞を採ったんだよ」

「すごいじゃないか!」

「で、この写真がそうなんだ」

沢山の写真が袋に入っている中から一枚だけ取り出した

「今回のテーマは、『花』だったから大輔が好きな花を撮ったんだ」

「僕の好きな花、覚えててくれたんだ」

「うん♪だって、あの場所で出会ったんだから」