祐希がこの町から居なくなった日に

私は剣道部の顧問の原田先生に教官室に来るように

言われた。

先生は某有名高校の卒業で、剣道界では有名。

でもまだ24歳。

私たちの入学と同時に新米教師として

私たちの学校にきた。

やっぱりそんな先生だけあって

すべてのことに厳しかった。


「失礼します・・・」

「佳英か。入ってこい」

「はい。」

教官室は原田先生しかいなかった。

それがますます恐い・・・


「座って」

「はい」

「お前今気持ち的にどうか?」

「え・・・?」

「祐希が引っ越してからお前のことだから
落ち込んでるだろぉなぁと思って」

「・・・」

「どうか・・・つらいか・・・?」

「はい・・・でも、祐希よ方がつらいし
悲しいと思うから・・・」

「お前は間違ってる。確かに祐希の方が
つらいかもしれない。悲しいかもしれない。
でもお前だってつらいし、悲しいだろ?
泣いていいのは今だけだぞ?」

「・・・」

「今だったら泣いても泣き叫んでもいい。」

「先生・・・」

「ん?」

「私…悲しいです。」

「うん・・・」