「ウチ引っ越すから・・・」

同じ剣道部の祐希は暗い顔をして言った。

祐希と私(佳英)は、剣道部で中学1年。

祐希は小学校のときから剣道をしていて

県でも指折りの強さ

私は祐希に剣道部に入らないかって誘われて

4月に入部した。

今は3月

もう学校や剣道部にもなれたころ

祐希は引っ越すと言い出した。


「なんで?」

「いや、ちょっといろいろあって・・・」

「祐希がいないと私…私っ!」

「大丈夫だから・・・剣道続けるし」

「ホントに?約束?」

「うん!そのかわり試合であたったら両者とも
手加減はしないこと」

「わかった!」

「明日にはもう行くから」

「いきなりだったんだね・・・」

「うん。ごめんね・・・」

「ううん、大丈夫!祐希より強くなってやる!」

「じゃあ、負けないように頑張る」

「わかった!じゃあ試合で!」

「うん!じゃあ!」


私は泣かなかった。

私より祐希の方が悲しいと思ったから。

でもやっぱり涙でちゃうね・・・

私は祐希の後ろ姿を見ながらなき続けた。

試合で会おう・・・

そして

絶対負けないから・・・