「「諦めたんだから…」」


その言葉を自分に言い聞かせて我慢した。



『渡部が昨日さ−…』


優奈はいつもの様に渡部の話をしだす。

聞きたくない。


耳を塞ぎたくなる。


お願いだから梨央の前で渡部の事話さないで…。



『…………央………梨…央』



『梨央?! 聞いてる???』


「あ………ん?」



完全にボーっとしていた。



『どうしたん?』

優奈が不機嫌そうにたずねる。


「ちょっとボーっとしてた!」

いつもの愛想笑いで誤魔化す。



『梨央…やっぱりまだ諦めれてないやん。』


優奈が静かにそう言った。


「え?なにが?」

『解るって』

優奈の声がだんだん怒っていく。

とぼけても もぅ無理。



『だって梨央いっつも態度変やもん』

「……………。」


何も言い返せなかった。




多分優奈は全て気づいていたんだと思う。

もぅ嘘はつけない…。


優奈は私を睨んだ。



「ごめん。」




あぁ−ばれちゃった。



『そうやろうと思った…』

優奈は呆れたように言った。


「………………。」


私は黙って優奈の顔すら見れなかった。