早く、早く会いたい。

柏木舞子は靴を履き替えるのもままならず、急いで学校を出た。

のろのろと歩く生徒たちを次々と抜き、校門を走って通り抜けると、最短ルートを通るために右に曲がった。
三つ坂を駆け下りると、あと少しで家だ。

息が苦しくて足が痛い。
それでも舞子は走り続けた。

坂を駆け下りた勢いで信号を渡ると、家に辿り着いた。

玄関に靴を脱ぎ捨てたまま自室に向かい、部屋のドアを乱暴に開ける。

”彼女”と目が合うと、舞子は安堵の表情を浮かべて微笑んだ。

「ただいま......麻里乃、」