『コンビニに行こう!』


沢山のお土産を買い込んだ私はとりあえずベンチで休憩…



何もすることがなく、携帯を取り出す。


一昨日の夜から電源を切りっぱなし…



迷ったけれど、電源をONにする…。




留守電に沢山のメッセージ…


家から繋がらない…という文句が5件…


ノリからの〜買ってきてぇ〜という催促…


店長さんからのシフトの調整…


マリさんからの何でもない話…


そして、純さん…


“ハルちゃん?!沢山連絡してごめんね…。ハルちゃんに話したいことがあります。連絡ください。”


というメッセージ…。



…話したいこと……?



悩んだ挙げ句、かけなおすことにした。



2コールで出た純さん…



…早い…待っててくれたんだってわかる……




『もしもし?ハルちゃん?』


『はい…すいません。全然連絡しないで…』


『いいよ…。今かけてくれたし…良かった…。声、やっと聞けた…。』


安心している純さんの声にドキッとする…。


『あの…』


『そうだ…。俺、話したいことがあるんだ…。』

『あの…どうしたんですか?』


『…孝太と付き合うの?』

『えっ…どうしてですか?』


『ハルちゃん…俺さ…、あの…』

なんか言いたそうな純さんだったけど、


『あーっ!ハルー!ここにいた〜!』


と大きな都ちゃんの声で遮られた。


その都ちゃんの声は純さんにも聞こえたらしく、

『あっ…呼ばれてるね…。また今度でいいよ…。』


『えっ…純さん…?大丈夫ですよ?』


『いや…いいよ…やっぱり直接会って話したい。だから今度、一緒のバイトの時終わってから会おう…。』




『…はい。分かりました。』


そう約束して電話をきった。



…なんだったんだろう…


謎のまま、私は都ちゃん達と合流した。



時計を見るともうお昼…



コウさん達が戻ってくる時間だ…



慌てて集合場所へと向かった…。














大変な三日間が終わった…



私、どうするんだろう…



どうしたいんだろう…





もう、どうしていいかわからなくなった…。








合宿の次の日からバイトを入れていた私…



休んでしまった分、働かないと…




でも、純さんとはなかなか一緒のシフトにはならなかった…。


ならないようにしていた…


合宿の次の日の深夜は純さんで会えたけど、純さんは約束には触れず、無事怪我せずに帰ってきた私をみて安堵していた…。



同じシフトになったのは冬休みも終わって暫くたった頃だった…。




その間、私はコウさんとまた日帰りでスノボーに行ったり、映画を観たり、買い物に行ったり…、

まるでカップルのようにデートしていた。




毎回一度は断るものの、コウさんの強引なお誘いに、私は断ることができなかった。


…だって…、

心のどこかに、コウさんと一緒にいたいって気持ちがあったから…。




私、どんどんズルくなってる…。



でも、コウさんの優しさに甘えることで、私は純さんとの関係を保ってこれた。

純さんの前で普通でいることができた…




…これってもう、純さんへの想いが吹っ切れたってこと………?








でも、私は勘違いしていた。





やっと、純さんとシフトが同じになった日…


バイトが終わると純さんが、

『ハルちゃん?約束覚えてる?』

と声をかけてきた。


『はい…。』

…きた……。でも一体、なんの話なのかな…




これってコウさんに話すべきだった…?



そう考えているうちに、純さんは、

『じゃあ…行こっか…』

って私の手を引いた…。





その足で、近くの居酒屋さんに行った。








純さんは珍しくあまり話さず…


ものすごい勢いで飲みまくっている…



…なぜ………?



純さんはびっくりするくらい飲み続けてる…




こんなにお酒、強かったっけ……純さんって……








呆気にとられていた…。




居酒屋さんでは何も話さなかった純さん…



戸惑った私は店を出た後、帰ろうとした。


でも、純さんは私の腕を掴み、フラフラな足取りで歩き出す…



純さんが向かったところは、バイト先から近い、海が見える高台の小さな公園だった…。



『ここで話そう…。』

ベンチに座った純さんは隣を手で払って、

『どうぞ!』

と勧める………。



勧められるがままに私は隣に座った…。




暫く、沈黙………。


…だって、何を話していいかわからない……


吹っ切れたって思っていた純さんへの想いが沸々と甦る…。


…なんで……?

私、全然吹っ切れてなかった…



……抑えて…抑えて……


純さんへの想いをなんとか抑えているのに…


純さんは口を開く…


『ハルちゃん?…孝太が好き?』


『えっ…コウさん…?』



『うん…。最近、付き合ってんのかな…って思って…』



ドキドキ…ドキドキする気持ちを落ち着かせて、


『…私、……コウさんの気持ちに答えたいって思ってます…。』


『えっ…?それは付き合うってこと?』



私を見つめる純さんに、私は頷く…。



『ハルちゃん?さっきの質問に答えてよ…。孝太が好き?』



……好き?!


私は、コウさんが好き…?





わからない………



自問自答するけれど……


何も答えられない……。



私を真っ直ぐ見つめる純さんに嘘がつけなかった…。




『ハルちゃん?』



『…好きになりたいです。』


『…それ…、答えになってないよ…。』



『…どうして…?』


『えっ…?』


『どうしてそんなこと聞くんですか?それは…また…兄貴としてですか?』



こんなこと…聞きたくないのに…


純さんが責めるように質問するから…


声をあらげてしまった…


『違う!!兄貴としてじゃない!』

純さんも声をあらげて強く否定する…



『もう…やめてください。』

涙が溢れる…


声が震える……



『……ハルちゃん?』


純さんはビックリしている…

でも、私はもう止まらなかった。



『ズルいよ、純さん…。そんなこと聞かないで下さいよ…。…私、純さんのこと…忘れられないじゃん…。……私は純さんが好きなの!!……ずっと…ずっと…出会った頃から好きだったの…。だから…彼女がいるってわかっても…、妹だって言われても…好きだったの…。純さんに近づきたくて…背伸びもした…。でも純さんにはやっぱりただの妹で……。………でもコウさんは…そんな気持ちわかってて、それでも私を好きって言ってくれたの…。
…だから、私、コウさんを好きになりたいんです…。』


ぼろぼろ泣きながら…


私は純さんに告白してしまった………。



…もう、抑えられなかった……。



…純さんの行動…言動がわからなくて…我慢できなかった…。


彼女がいるのに私に優しくする…気にかける純さんが許せなかった…



辛かった…………