「騙し騙しやってきたツケがついに回って来たってやつかな」


いつ爆発してもおかしくねえや、と言う彼は、右足の半月板に爆弾を抱えているのだ。


それはもう、中学の時にやってしまった怪我だ。


練習試合中だったらしい。


ダイビングキャッチをした際、変な着地の仕方をして膝を捻り、半月板と靭帯を損傷してしまったそうだ。


幸い、靭帯の断裂は避けられたらしいのだが、治療とリハビリ後に焦って復帰した事が原因で今に響いているのだ。


この春、市内リーグの決勝戦でスライディングをして相手のキャッチャーと激しく衝突した時に右膝に違和感を覚え、整形外科を受診したところ、菊地先輩は医師に告げられた。


右膝関節前十字靭帯および右膝内側半月板損傷。


この時は軽く済んだことから痛み止めなどでごまかしながら、今日に至る。


もちろん、これまで同様に保存治療はできるらしい。


でも、長期に渡り騙し騙しやってきたため、次に大きな損傷をすると靭帯損傷は避けられないらしく、手術をしても今後は運動制限が生じるだろう、と。


しかし、今手術をして丁寧にリハビリを積めば完全復帰も可能だ、とも。


医師に告げられたそうだ。


でも、手術となると、大きなリスクを伴う事になる。


術後2,3週間は一切運動ができないのだ。


それからリハビリが始まって、日常生活に支障はないものの、2ヶ月くらいは激しい運動ができない。


例えば、今は8月だから、来月9月に手術をするとしても、だ。


普通の生活ができるまでは、約4ヶ月。


完全に復帰できるまでは約10ヶ月、と言われたらしい。


と、なるとだ。