「南高校だば近いしな、響也も健吾も一緒だべ。一番いいねが」


それは、そうだけど。


でもな、ばあちゃん。


それじゃあ、だめなんだ。


「3人同じ高校で野球せばいいねがよ。な、修司」


そもそも、ばあちゃんは極度の寂しがり屋で、心配症なのだ。


毎日、毎日、おれとじいちゃんの心配ばっかりしている。


腹は減っていないか、寒くはないか、熱くはないか、風邪を引いたら大変だ。


そして、交通事故には気を付けろ。


小さな事から、大きな事まで、いつも。


「なあ、修司よう。響也ど健吾ど離れ離れになってもいいのだが?」


ばあちゃんの質問に、おれは過剰に反応した。


弾かれたように、一気に頭を上げた。


「いいわけねえべ! 離れってぐねえに決まってるべ!」


気の弱いばあちゃんにでっかい声を上げてしまった事に、後悔した。


でも、抑えようとして抑えられるようなものでもなかった。


「響也と健吾と野球したいに決まってるべ!」


怒鳴られたと思ったのだろうか。


気の弱いばあちゃんがびくびくしているのが分かる。


「したら……そったら遠い高校さ行ぐな……修司」


そう言った後、ばあちゃんは目を潤ませた。


「ばあちゃん、修司ど離れたぐねえよ」


ばあちゃんは、泣き虫だ。


すぐに泣く。


「ばあちゃん、修司の弁当こさえるよ。練習着も綺麗に洗ってやっから。な、修司……」


「泣くなよ。ばあちゃん……」


見ていられなくて、ばあちゃんから目を反らした。