「大樹!」


走っていると、聞こえた聞き覚えのある声。


スピードを維持しながら顔だけ振り向くと、同じくカバンを持って走る大樹の姿。


きっと大樹も呼ばれたのだろう。


でも大樹が呼ばれる理由は一体?


「大樹!呼ばれた理由、知ってる?」


「わからない!ただメールで、倉庫集合ってきただけ!」


大樹も同じような内容…。


お兄ちゃんは何を考えているの?


「大樹!いそごっ!」


「うん!」


大通りに出て、タクシーを捕まえる。


私も大樹も、バイクは倉庫に置いてあるからね。


「どうかしたのかな…?」


攻められていたらどうしようっ。


「もし、攻められても大丈夫。陸さんがいるみたいだし」


「…うん」


〝陸さんがいるから〟


その言葉はとても安心するものだけど、今の私にとったら不安で仕方がない。


何も…ないことを祈るけど…。