テニスのラケットとスポーツバッグを手にした姿。


「・・・おはよ、海くん」


その後ろからひょこっと現れたのは。


「おはよぉ、えみっ」


キャラメル色の髪を今日は巻いている、陸ちゃんの姿。


「おはよ」


・・・昨日の今日で、普通に挨拶が返せるって。


陸ちゃんには昔からこういうとこあったけど、あたしはいつまでも慣れない。


・・・そだ、昨日のこと!


思い出したとき、陸ちゃんは巧に近づいていた。


「近寄んな」


陸ちゃんの存在に気づいた巧が心底嫌そうに睨む。


「そんなこと出来ないよ」


陸ちゃんは微笑みを壊さずしてそう言った。


「だってあたし、巧の彼女だもん」