同じ頃、学校町バス停にふたりの人影。


「ここがえみと巧の通う学校なんだ〜っ」


「あいつら元気にしてるかな」


ひとりは長いキャラメル色の髪をなびかせて歩く少女、もうひとりは漆黒を思わせる瞳と髪を持つ少年。


ふたりはどことなく似た雰囲気を持っていた。


「ほら、ラケットくらい自分で持て」


少年が少女に手渡すと、少女はえー、と言い仕方なくラケットを手にした。


「巧ってもうテニスやってないんでしょ、あたしもやめよっかな〜」


「何言ってんだよ」


「だってえみが辞めたら一緒に辞めちゃったじゃない」


つまんない、そう言って口をとがらせる少女。