いつもと同じバス停に向かう。


いつもと同じ時刻、いつもと同じ雰囲気。


ただ違うのは、あたしと巧の手が繋がれているということ。


「ん。」


家を出るとき、当然のように巧が手を差し出してきたから、あたしも怪訝な表情のまま手を重ねた。


指をきつく絡められて思わず巧を見ると、巧はニヤリと笑った。


「恋人つなぎ」


・・・そして、バスに乗り込んだ今でも手は繋がれたまま。


「巧?・・・手、離そうよ」


「なんで」


「いや、『なんで』じゃあなくてさ・・・」


そんな不毛な会話を数回続けたあと、高校のある学校町に到着した。


バス停に降り立ったあと、あたしはさすがにまずいと焦る。