てっきり宮原かすみが色目を使い、氷室を誘惑してるのだとばかり思っていた。


しかし現実はまったくの逆だ。


笑えるほど逆。


積極的なのは、氷室のほうだったのだ。


「ほたる。
アンタ大丈夫?」


固まったほたるの身体を智香が揺する。


それでも反応がない。


やがて頭を小突いたり、ほっぺをつねったりしてみた。


ようやくほたるが我に返る。


智香は言った。


「あの2人が付き合うのは時間の問題みたいだね。
あおいには悪いけど、女の魅力じゃ宮原かすみに到底かなわないよ。
あの教師、マジでキレイだし、色気もプンプンだもん」


智香の指摘がぐさりと胸に突き刺さる。


そのときー


「ほたるごめん。
私ちょっとトイレ。
ほたるはトイレ、大丈夫?」


「うん。
私は平気」