「さっきの質問だけど、あなただけ特別に答えてあげる」


ふたたびほたるの心臓が驚きで飛び上がった。


「私と氷室先生、今は付き合ったりしてないわ」


ほたるの心に一瞬、花が咲いた。


雪が積もる真冬の光景の中に、小さな春をみつけたような気分だった。


だがその春は、ほんの束の間の命で、すぐに冬に逆戻り。


宮原かすみは意味深にこう続けた。


「でもこれから先はわからないわ。
私自身も。
見当さえつかないの」


そう言うと、にっこりと笑い


「お大事に」とドアをバタンと閉じた。