そして茶番の開演当日。


段取り通り、放課後になって、ほたるはあおいと校門を出た。


「おいおいそこの姉ちゃん。
なかなかかわいいな。
おっぱいもなかなかでかいし。
どうだ?
オレと付き合わねーか。
楽しもうぜ」


パンチパーマに鼻ピアスをした、いかにもといった風体の男があおいの腕を引っ張る。


「や、やめてよ!」


あおいが健気にその腕を振りほどく。


なかなか迫真の演技だ。


しかし、せっかくの名演技なのに、ギャラリーは一人もいなかった。


呆れていると、あおいが怖い顔でほたるを睨みつけた。


この世のものとは思えない恐ろしさ。


般若のような形相だった。