ほたるのラブコールに氷室は肯定も否定もしなかった。


答えを回避したのだ。


その態度はほたるを深く、そして確実に傷つけた。


どうせフラれるなら気持ち良くフラれたい。


それさえも叶わないのか。


ほたるは悲しくなり、そのうち、氷室といることに苦痛を感じ始めた。


「先生、私帰ります。
この服、今度洗って返しますから」


早口でそう言い、立ち上がる。


「危ないから送ってくよ」
という氷室の提案をはねのけるように玄関に駆け出した。