二人は顔を見合わせる。


「それとも氷室先生に下心はないのかしら。
ずぶ濡れの生徒を見て、かわいそうに思っただけなのかしら?
単なる親切心ということなのかな?」


「いいえ。
『強』になっていれば親切心すら湧かないはずです。
部屋にあげるなんてあり得ません」


「そうよね・・・」


「学校ではいざ知らず、氷室先生にとって今はプライベートな時間ですからね」


「あなたの話を整理すると・・・つまり、本来なら“プライベートな時間まで生徒の面倒は見るのはこりごり”という感情を抱かないとおかしいってわけよね」


「ええ。
そういうことです」


「私たちはこの事態をどう解釈すればいいのかしら?」


「もはや答えは一つしかありませんよ」


「何かしら?」