「あら。
じゃあなんで拒否するんだい?」


「お金持ってないから」


「ハハハ。
アンタみたいな小娘から金を巻き上げるほど、あたしゃ落ちぶれちゃあいないよ」


占い師は立腹してそういうと、


「今日はせめて名前だけでも覚えて帰っておくれ」と名刺を差し出した。


『伊集院エリ』という名前だった。


「うーん。
長くこの商売やってるけど・・・
こんなのは見たことがないねー」


これはほたるの手相を見た伊集院エリの第一声である。


「やっぱり私の手相って変ですか?」


「うん。
かなり変。
常識ではありえないね。
アンタ、相当数奇な運命を辿ってるでしょ?」


ほたるは無言のまま頷いた。