ゆりりんは下衆な笑みを浮かべてほたるにいった。


「アンタの狙いがわかったわ」


「あら。
私が何を狙ってるっていうんですか?」


「あなた、ただテレビに映りたいだけなんじゃなくて?」


「まさか。
そんな気、私にはまったくありません」


「よくいうわよ。
アンタみたいな中途半端な顔の子に多いのよ。
アンタ間違いなく出たがりね。
出たがり女め!」


「あら、それはゆりりんさんのことではなくて?」


「ど、ど、どういう意味よ!
私を侮辱すると私のファンがだまってないわよ」


「そんな脅し、私には通用しないわ。
週刊誌にちゃーんと書いてあったわ。
『ゆりりんは単なる出たがり。
アナウンス技術は下の下。
どうしようもなく下手で素人。
アドリブもからきしダメ』
なんですってね」


「このー・・・
いわせておけばいい気になって・・・
おいガキ! ちょっとこちらへおいで!
かわいがってやるからさー」


ゆりりんはほたるの袖を引っ張り、グランドの隅に連れ込むと、
「舐めた口聞いてるとタダじゃおかねえからな」と巻き舌でまくしたてた。


「アンタなんかちーっとも怖くない。
やれるもんならやってみなさいよ!」


ほたるもぴしゃりと言い返す。


氷室のこととなると見境がなくなるのだ。