里中は感心したようにいった。


「あの『ゆりりん』とかいう子、たいした女ね」


「ええ。
あの子にしてみれば、男を手玉に取るのなんて朝飯前なんでしょうね」


「ところで校長。
大丈夫なんでしょうね?」


「何がです?」


「ゆりりんが猛アタックしてるけど、氷室先生はなびいたりしないわよね?」


「ええ。
そこはご安心ください。
キャピキャピした女からアプローチを受けても、心がグラつかないよう、設定してありますから」


「フフフ。
グラついてるのはむしろ、校長のほうかもね」


「えっ・・・何がおっしゃりたいんです?」


武田の鼻の下が伸びていることを里中は見逃さなかった。


武田もまたゆりりんのファンなのだ。