「遥香、おはよう!」

紗香がいつものように飛び付いてくる。

「昨日どうしたの?高橋から呼び出されて…まさかっ」

「ち、違うよ!!」

まさかの質問に驚く私。

「ふーん、じゃあ何よ。」

「あのね、翔太にさマネージャーやらないかって言われて…」

紗香の目が一層輝く。

「凄いじゃん!野球部のキャプテンから直々に誘われるなんて。」

「違うよ。あいつ、私しか頼む人いないんだって。」

「えー、あの高橋が?実は恥ずかしがりや?」

「…実はね。」

翔太ははっきり言ってモテる。
カッコいいし、頭もいいし、運動も出来るし。

でもね、私は知ってるんだ。
翔太の可愛いところ。

泣き虫で、よく泣いていたことだって知ってる。

こんな翔太が幼馴染みで嬉しい。
羨ましがられるのが嬉しい。

そんなこと口に出して言えないけど、自慢の翔太。



そんなことを考えていた矢先、

「邪魔。」

ドンッ。
思いっきりぶつかられた勢いで、壁に強打する。

「痛った…」

ごめん、の一言もなく、去っていく。
邪魔なら、どいて、くらい言えばいいのに…