「遥香……大丈夫か。」
「……佑樹…………私は最低だね。」
「違う。最低なのは絢斗だ。昔はあんなんじゃなかったのに…」
皆、口を揃えて言う。
"昔は心優しかった"と。
神様は酷いよ。
どうして彼じゃなきゃいけなかったの?
将来有望なエースピッチャーの夢をどうして奪うの?
「緊急ミーティング。」
翔太の号令がかかる。
「ごめんな、一年。巻き込んで。」
「誰なんですか。」
「…あいつの名前は上原絢斗。2年だ。」
皆が真剣な顔をして聞く。
「…絢斗はな……」
以前、私には話してくれた話を皆にした。
「じゃ、上原先輩はあんな性格じゃなかった…」
「ごめんな、俺らのせいだ。」
「先輩達は何もしてないじゃないですか。」
しばらくの沈黙が続く。
「…今は絢斗は忘れよ。来週末試合だぜ?」
口を開いたのは拓矢だった。
「いいのかよ。」
「さっさと練習しよ?」