皆のバッティングを見守る私。
「遥香、水くれー」
駆け寄ってくる部員達。
私はこんなにも寒いのに、皆は汗だく。
「お疲れ様ー」
水を渡すと同時に物凄い勢いで飲む拓矢。
一気に半分もなくなった拓矢のペットボトルだけ、減りが早い。
「もう一本買ってくる?」
「いや、大丈夫。さんきゅ、遥香。…………あ、」
まさか、だった。
私は心の何処かでは、願ってたのかも知れない。
………彼が少しでも、野球に未練があると。
だけど、そんな私の期待への裏切りを知るには早すぎた。
「………………絢斗。」
部員全員の目が彼に注がれる。
「久し振りだな、絢斗。」