私は何も言えなかった。
なんとなく、彼の言ってる言葉の意味が理解できたから。
「遥香、知り合い?なに話してたの?急に立ち上がるもんだからビックリしたよー」
彼を野球部に引き戻すなんて、とてもじゃないけど無理だ。
あの閉ざした心に入り込むなんて、誰にできるんだろう。
私は何も知らない。
彼の事故だって、この目で見てない。
だけど、何故か分かる。
彼の苦しみ、悔しさを。
何かのきっかけがあれば、彼は…
これから先、どんなに辛い思いをしても、負けない。
必ず、あなたを変えてみせる。
もう一度、エースピッチャーへ。