立ち去ろうとする彼を引き留める。
「……なに。」
意を決して聞く。
「上原絢斗……君だよね。」
初めて話し掛けた。
色んな気持ちが心の中で葛藤する。
どこかでは、すごく期待してた。
……でも、そんな期待はすぐに打ち砕かれた。
「だから何。」
私を真っ直ぐ見つめる瞳はあまりにも冷たくて。
「私、B組の岡崎遥香って言います。野球部のマネージャーで…」
彼は呆れた顔で再び立ち去ろうとする。
「野球部を助けて!」
言ってしまった。
彼だって傷付いてるはずなのに、こんなストレートに。
彼は立ち止まりこっちを見る。
「お前になんか、分かんねぇ…」