「あの・・・部長さんが宮崎さんに何か言ってましたよ?」

カツカツとヒールを鳴らすあたしの後ろを相馬くんはおどおどしながら歩く。


『いーの。部長はああやってこっちの反応楽しんでるだけだから。
それより・・・』

あたしはくるっと後ろを向いた。

わっ!!と言って相馬くんが立ち止まる。


『宮崎さんっていうの、やめようか。』

「へ?」

まんまるの目がさらに大きく丸くなる。



『まこっちゃんでいいよ!
みんなそうやって呼んでるし。』

「いやいやいや・・・
それはさすがに無理です!」

『え〜?だってなんかよそよそしいじゃん。』

「馴れ馴れしいのもどうかと・・・」

『じゃあ、まこさんはどうだ?!これならいい?』

「いいんですか?」

『良いに決まってるじゃーん。
それと、後ろ歩かないでくれる?
なんかストーカーみたい。』


あたしはぐいっと相馬くんの手を引き、隣に並ばせた。

『あと、背筋も伸ばすこと。
猫背は印象あんまよくないから。』


そういうと相馬の背筋がぴんと伸びた。

素直だなあ・・・

『よろしい。じゃあ行こっか♪』