サーチライトが光った。マンゴーのジュレがソフトクリームに垂らされると、海底から浮き上がったあなたに優しく微笑みかけられている気分になる。何故かはわからないが海底からあがってくるのだ。プールでも別に構わないが、それだと僕は、錆びた鉄看板の上の乾いていないペンキしか想像できなくなる。
イメージって、あなたが思うよりも繊細なものなんだ。恐ろしいくらいにね。それを更に越えてしまうと、繊細さが恐怖を生む、ってことにもなるんだけどさ。
まあ、いいよ。ここで僕が伝えたかったのは物の些細な一部が全てを決定してしまうってことなんだよ。
電車を降りた僕はあちこちに転がってるようなカフェに入って、ギリシア時代のような問答を繰り返し、理論づけ、高尚な顔をしてソフトクリームを口にした。
女性店員が忙しげにダストボックスの側で飲み残しのカップを片手に動いている。必死で真剣な様子が馬鹿馬鹿しかった。今の僕なら、嘲りの視線だけで彼女の背中にタトゥーを入れられる自信があった。デザインを何パターンか浮かべてみたが、どれひとつとして彼女に似合わなかった。