「んじゃ、もう行く。」
彼は、隣の席に立てかけてあった黒の特攻服を手に取った。
「行くんだね。」
「あぁ。さっさとくだらねぇ抗争を終わらせねぇとな。」
「それは、『約束』のため?」
少し寂しそうに彼はうつむき、

「…ああ。」

「君たちが出れば、この抗争もすぐ終わるだろうね。歴代最強と言われる君もいることだし。」
「あんたにはおよばねえよ。」
「…昔の話だよ。」

「マスター。」
特攻服を羽織った彼が振り向く。
「ん?」

「また来る。」

そう言い残して、彼は夜の繁華街に消えていった。